筑波大学附属病院
筑波大学附属病院 総合臨床教育センター

必修化制度について

このページでは、卒後臨床研修必修化の全体について概要を説明します。

何のために必修化するのか?

 厚生労働省 医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会 中間とりまとめ(論点整理)より該当部分を抜粋します。

 我が国の医師卒後研修については、昭和43年にそれまでのインターン制度が廃止されたことに伴い、現在の医師臨床研修制度が努力義務として設けられた。以来、医学医療の進歩への対応や医師臨床研修の質の向上を目的として研修内容や研修施設の基準に関して、様々な改善が加えられてきた。

 近年、高齢化に伴う疾病構造の変化や医療の高度化、患者と医師のコミュニケーションのあり方の現代化など、医療を取り巻く環境は大きく変化している。
 こうした状況を踏まえ、医師の資質の向上を図るため、平成12年、医師臨床研修を必修化することを含む医師法等の改正が行われた。
 この改正は、医師臨床研修に専念できる環境を整備し、医師としての基盤形成の時期に、プライマリ・ケアへの理解を深め、患者を全人的に診ることが出来る基本的な診療能力を身につけられるようにすることを目的としており、これまでの医師臨床研修に対する考え方を大きく転換し、医師養成、医療供給体制のみならず、今後の我が国の医療の姿にも大きな影響を与えるものである。

つまり、医療を取り巻く環境に対応し、社会の求める医師を体系的に養成すること、研修に専念できる環境を整備することが必修化導入の大きな柱です。
法律上は何が変わるのか?
「医療法等の一部を改正する法律」が平成12年11月30日に成立し、ここで平成16年4月からの卒後臨床研修必修化が決まりました。法律における改正の主なポイントは以下の通りです。

  • 診療に従事しようとする医師は、2年以上、大学病院又は臨床研修指定病院において臨床研修を受けなければならない。
  • 研修医は、臨床研修に専念しなければならない。
  • 臨床研修の修了は医籍に登録し、臨床研修修了登録証が交付される。
  • 臨床研修を修了していない医師が診療所を開設する場合には、都道府県知事等の許可が必要。
  • 臨床研修を修了した医師でなければ、病院の開設者になれない。

 さらに、参議院において「医師及び歯科医師の臨床研修については、インフォームドコンセントなどの取組や人権教育を通じて医療倫理の確立を図るとともに、精神障害や感染症への理解を進め、更にプライマリ・ケアやへき地医療への理解を深めることなど全人的、総合的な制度へと充実すること。その際、臨床研修を効果的に進めるために指導体制の充実、研修医の身分の安定及び労働条件の向上に努めること。」について、政府は適切な措置を講ずるべきである旨の附帯決議がなされています。必修化で法律で決まっていることはこれだけです。

 ですから、例えば研究者を目指しており、一生臨床をやらないというのであれば研修を受ける必要はありません。
 なお、医師免許取得後、研究者になるなどの理由で研修を受けなかった人が後になって臨床に戻る場合には、改めて臨床研修を受けたうえで医籍に登録することになります。

これまでの経緯

 以下に簡単にまとめます。それぞれリンクを貼っておきますので、詳細はそちらを参考にしてください。

昭和43年 インターン制度の廃止
平成6年 医療関係者審議会 臨床研修部会 中間まとめ
「医師臨床研修を基本的には必修とするとともに、その内容等の改善を図ることが望ましい」
平成14年5月 医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会 中間とりまとめ(論点整理)
平成14年9月 新医師臨床研修制度検討ワーキンググループにて 「新臨床研修制度の基本設計」 合意
平成14年10月 パブリックコメントにおいて厚生労働省原案が提示される
平成14年12月 医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令
平成15年3月 国立大学病院がマッチング参加を表明
平成15年6月 改正省令ならびに施行通知の発出
平成15年7月 マッチング協議会 発足
平成15年12月 平成16年度予算原案で171億円(厚生労働省分)、34億円(文部科学省分)の必修化経費が認められる
平成16年3月 指導医養成講習会の開催指針 発出

必修化のコンセプトは?

研修プログラムに基づく研修を行います。

すべての研修プログラムは事前に公開され、研修医はその中からプログラムを選ぶことになります。研修プログラムには定員が設けられ、処遇などの条件についてもすべて公開されます。
スーパーローテーション研修が基本になります。

研修プログラムは、内科、外科、救急(麻酔)、小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療、選択研修からなるスーパーローテーション形式の研修になります。このうち、内科、外科、救急(麻酔)は基本研修科目として、原則として最初の12カ月で研修します。
研修に専念できるような処遇が確保される(はず)です。

厚生労働省から171億円、文部科学省から34億円の補助金が出ることになりました。具体的な配分方法が決まっていないので詳細は決定していませんが、研修病院はこれを受けて研修医の処遇を考慮する必要があり、給与として月30万円という数字がひとつの目安となっています。

必修化に関するQ&A

必修化の制度について、学生・研修病院から質問の多かった事項についてQ&Aをまとめましたので、参考にしてください。なお、これは厚生労働省の公式な見解ではありませんので、そのつもりでお読みください。

研修内容について

Q. 基本研修科目は絶対に1年目に研修しなければならないのですか?
A. 「原則として」当初の12カ月で研修することになっていますが、この原則の範囲については明確な基準はありません。筑波大学では3カ月を上限として2年目に基本研修科目を研修するプログラムになっています。
なお、この点については必修化にかかるQ&A(厚生労働省)において、内科を1年目3カ月、2年目3カ月としてもよいという見解が示されていることからも、3カ月程度であれば選択科目や必修科目を1年目に研修することも差し支えないと思われます。

Q. 2年間の研修は、少しでも欠けたら研修期間を延長しなければならないのでしょうか?
A. 研修の目標は、あくまで到達目標の達成です。
きちんと到達目標を達成していれば、多少研修期間が短くなっても24カ月という数字だけにこだわる必要はないと思います。この「多少」というのがどれくらいにあたるのかは研修管理委員会で個別に判断することになります。
もし欠けた場合、研修管理委員会は、たとえば選択研修期間を見直すなど、研修目標に到達できるような柔軟な対応が求められることになります。

Q. 2年目はアルバイトできると聞いたのですが?
A. 休日・夜間の当直に関しては、「研修医1人で対応できない症例が想定される場合には、指導医又は上級医が直ちに対応できるような体制(オンコール体制)が確保されていることが必要。また、1年次の研修医が行う場合については、原則として指導医または上級医とともに2人以上で行うこと」とされています。
つまり、電話で相談できるのであれば2年目であれば一人で当直してもよいというふうに読めますね。
ただし、筑波大学では2年目であっても上級医が病院に常駐しているのを条件にしていますので、1年目、2年目ともにアルバイトは禁止です。

Q. 将来、開業する予定も院長になる予定もないのですが、その場合でも研修を受けなくてはならないのでしょうか?
A. 勤務医でしか仕事をしない、開業も病院の開設者にも一生ならないという人も研修を受けなくてもペナルティはありませんので必要はないという解釈も成り立ちますが、同級生のほとんどが臨床研修を受けて医籍に登録されていくことを考えると、自分だけ臨床研修を受けないことは、将来的に就職において圧倒的に不利になる可能性があります。
また、研修の修了が各学会の専門医などの資格の取得の条件になる可能性があります。
臨床医を目指す人、研究職、行政職でも将来臨床に関わる可能性がある人は、よほどの理由がない限り研修を受けておいた方がいいということになるでしょう。

マッチングについて

Q. なぜマッチングシステムを導入するのですか?
A. 必修化では、研修医の募集は公募が原則で、複数受験する機会が増えるものと思われます。その場合研修病院側は、掛け持ち受験をして最終的に他の病院で研修する人数を勘案して内定を出す必要があります。そうなると、予測がはずれた場合、本来なら不合格にならなくてもいい人が不合格になったり、定員をオーバーしたりするなどの不都合が生じていました。
マッチングシステムは、コンピュータを用いて最適の組み合わせを見つけることで、そのような不具合をなくし、双方にとってベストの組み合わせを探るものです。

Q. 希望しない病院に強制的に配置されることはないのでしょうか?
A. マッチングは、参加者(学生)が記入した研修病院について行われますので、参加者が登録していない病院に強制的に配置されることは絶対にありません。ちなみに、記入したすべての病院でマッチしなかった場合は、アンマッチとして返されますので、マッチング終了後に国による空席情報のデータを参考にしながら自由契約で研修先を探すことになります。

Q. アンマッチは怖いのですが、定員に余裕のありそうな病院を「滑り止め」として上位にあげておいた方がいいでしょうか?
A. マッチングに対する誤解でもっとも多い質問です。詳しくはマッチングのアルゴリズムを見ていただければと思いますが、ある研修病院についてマッチングを検討する場合には、学生の希望順位ではなく、病院の希望順位によって決定されます。つまり、病院の希望順位が1位だが、学生が第3希望だった場合と、病院の希望順位が5位で学生が第1希望だった場合には、前者が優先的にマッチされます。ですから、自分が研修してもよいと思う範囲の病院について、競争率が高い・低いにかかわらず研修したい順に希望順位を登録する、これがマッチングの基本です。

Q. 結局、マッチングは研修病院に有利な制度ではないでしょうか。
A. マッチングは、学生の希望順位の順にマッチングを検討していきます。学生の第1希望でマッチされたら、第2希望以下の病院でどんなに希望順位が高くてもマッチングが検討されることはありませんから、病院に有利というわけでもないのです。
つまり、一人の学生に対して複数の病院が定員内の希望順位表に掲載した場合には、学生の希望順位によって病院が決まりますし、一つの病院に対して定員以上の学生が希望している場合には、病院の希望順位によって決まるシステムになっています。言葉で説明するのは少し難しいので、わかりにくい場合はこちらを見て考えてみてください。
くれぐれも誤解しないでほしいのですが、マッチングで救われることはあっても、マッチングのために(マッチングでなければ合格していたのに、マッチング制度のために)不合格になることはありません。その意味で、マッチング制度は研修医のためでもあることを理解してください。

Q. 中間発表はどのような意味を持つのでしょうか?
A. 上述のように、自分の行きたい病院を行きたい順に書くのがマッチングの基本ですから、中間公表で自分の第一希望の病院の競争率がいくら高くても希望順位を変更する必要はありません。ただ、希望する病院の競争率が予想していたより高い場合、アンマッチになってしまう可能性もありますので、登録する希望病院を増やすことを検討してください。ただし、マッチされたらその病院で研修を受けることになりますから、病院を増やすとしてもあくまで「自分が研修を受けてもよいと思う病院」の範囲内で行うことになります。
マッチングは病院側でも順位表に載せてもらわないとマッチングが成立しませんから、その意味でも特に人気の高い病院を受験したいと考えている人は、多くの病院の採用試験を受けておく必要があります。

Q. マッチングに参加する病院と参加しない病院の併願はできますか?
A. 上記のように、マッチングは効率的に最適の組み合わせを探すために行うものであり、マッチングへの参加そのものは自由参加ですが、マッチされたらその病院で研修を受けるということが前提になります。ですから、マッチングに参加しない病院と併願すると言うことは、マッチされた病院で研修しないかもしれないと言うことですから、原則的に併願はできません。
ただし、登録締め切りまでであれば一度マッチングに登録していても参加を取りやめることができますから、マッチング不参加病院がそれまでに内定を出してくれるのであれば、とりあえず併願しておいて内定をもらったら参加を取りやめることは可能です。