実は先月、私のおばあちゃんが入院したの。病気は良くなったんだけど、たった10 日の入院で、まるで別人みたいに話が通じなくなっちゃって、家族みんなびっくり(@_@) 年はそれなりにとっていたけれど、保育園の現役園長で、いつもシャキッとしてたおばあちゃんが…って、途方にくれる私たちの前に現れ窮地から救ってくれたのが、本日のゲスト、せん妄対策チームの長岡 広香 先生で~す♥
ケイ(以下K):先生、お待ちしてました! 長岡先生(以下N):今日はお招きいただきありがとう、ケイちゃん。
K:先生、その節は大変お世話になり、ありがとうございましたm(_ _)m
N:お役に立てて良かったです。その後おばあさまはいかがですか?
K:もうほとんど元に戻って、保育園にも出られるようになりました(^_-)v 本当によかったですー。でも、一時はどうなることかと思いました。先生はあの時確か「せん妄」とおっしゃってました。医療チームの名前も「せん妄対策チーム」ですよね。でも「せん妄」って、何?
N:附属病院のチーム医療教育のHP に、精神神経科の佐藤先生が病院スタッフ向けにされた研修会の報告が載っているので、詳しくはそこをみてもらえるとわかりやすいんだけど(http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/team_iryo/workshop/index.html#16)、一言で いうと軽度の意識障害のことなのよ。
K:ぜんぜん話が通じない時とそうでもない時があったので、体の調子が悪くて返事をしたくないのかなって思ってたんです。
N:「せん妄」は認知症などと違って、とても反応が悪い時もまた良い時もあるの。だから見逃されやすくて、治療されずに退院してしまうケースも多いんです。
K:あの状態で家に帰っていたら、具合が悪いんだろうと思ってそのまま寝かせてたと思うんです…何せ高齢ですから。だから、せん妄に気付いてもらえなかったら、きっと寝たきりになっちゃってました。そう考えると知らないと怖~い病気ですね「せん妄」って。
N:そうね。せん妄が、患者さんのそれからの生活の質を大きく左右することもあります。患者さんが元の生活を取り戻すために、ケイちゃんのご家族がしたみたいに、おかしいなって思ったら、医師にそれを話して診察してもらうことも大事なの。身近な人でないと、患者さんの状態が正常なのか異常なのかわからないこともあるのよ。患者さんやご家族の方も、治療チームの大切な一員ですから、おかしいと思ったことはきちんと伝えることが重要ね。
K:そうか、それがチーム医療なんだ! マスター・ブライトに教えてもらったのに、家族 としてチームに参加するっていうこと、本当はピンときていなかったみたいo(> _ <)o(反省、反省)。
N:チーム医療では、患者さんが中心にいて、ご家族や医療スタッフが連携して患者さんの治療にあたるのよね。ケイちゃんは今回、家族としてチームに参加する経験ができて、一段とチーム医療の学習が深まったわけね。
K:本当に! 実はこの間、夜間演習でマスター・ブライトに連れて行ってもらった病院で、患者さん達が真夜中なのにすごく騒がしかったんです。夜中大声で何かを訴え続ける患者さんがあちこちにいて、ナースコールも鳴りっぱなし、看護師さん達は息つく暇もなく病棟を走り回って…。その時はわからなかったけど、今考えたらあれは「せん妄」だったのかも!? せん妄に気付いて対応できていれば、ああいう大変な状況にはなっていなかったんでしょうか (?_?)
N:少なくとも状況は少し違っていたかも知れませんね。一晩中騒いでいたら患者さんご本人も疲れてしまうし、周りの患者さんの安静も保てない。医療スタッフだって疲弊してしまうと思うの。「せん妄」の適切な診断と対応は、患者さんにとってより良い医療の提供となるだけでなく、医療スタッフの負担も軽くなるから、その分、お一人お一人の患者さんに向き合う時間もできて、より良い医療サービスの提供につながります。夜中の病棟が騒がしい状態を当たり前としないで、それに対応できることをまず知ってもらえるといいと思います。
私たちのチームでは、定期的に「せん妄の勉強会」を開いているのよ。多くの医療スタッフの皆さんに来てもらえると嬉しいです。ケイちゃんもぜひ次回はいらしてね。
K:はい、必ずうかがいます! ちゃんと勉強して、マスターに提出した夜間演習のレポートを書き直したいと思います!(実はこの前のレポート赤点だったの~、ク~(>_<))
長岡先生、今日はとても勉強になるお話、どうもありがとうございました。またどうぞ遊びにいらしてくださいね。お待ちしています。
N:ありがとうケイちゃん。でも、ここに来るための木登り、人間にはちょっと大変なので、次ははしごがあると嬉しいかな ^_^;
前回の「せん妄の勉強会」、佐藤晋爾先生の『≪せん妄に気付く≫診断と対応のポイント』の内容は、以下URLの報告で見てくださいね。
http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/team_iryo/workshop/index.html#16
次の勉強会すっごく楽しみです!
チーム医療等の教職員向けの研修会予定は、総合臨床教育センターのHPのカレンダー(http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/sotsugo/calendar.html)でも確認できるので、そちらもどうぞご利用ください。
それではみなさま、また次回をお楽しみに~ (^_-)-☆