筑波大学附属病院・つくばスポーツ医学健康科学センター(通称:SMITセンター)は、スポーツ医学と健康科学を融合させた先進的な取り組みを通じて、スポーツ選手のみならず多くの方々の健康増進とQOL(生活の質)の向上に貢献することを目的として2015年に設立されたセンターです。SMITセンターの設立および発展にご尽力いただいた山崎正志前センター長の後任として、2024年度よりセンターを引き継いでおります。
SMITセンターでは、競技スポーツに取り組むアスリートに対し、さまざまな角度からの支援を行っています。先進的な診断・治療、アスレティックリハビリテーションなどを含む、一気通貫型の支援体系の構築を目指しており、トップアスリートに限らず、将来を担う大学生・高校生をはじめとするジュニアアスリート、さらには小・中学生の成長発育期の子どもたち、そしてスポーツを愛好する市民の皆様など、幅広い層のニーズに応えるべく活動を展開しています。
また、スポーツ活動に取り組んでいる方々に限らず、運動習慣の少ない一般市民、高齢者、障がいや慢性疾患を有する方々など、すべての人々に対して「体を動かすこと」を基盤とした支援を行っています。
外傷や障害の予防、診断、治療、リハビリテーションから、競技復帰支援やパフォーマンスの最適化に至るまで、医療とスポーツの垣根を越えた包括的なサポート体制を構築しています。さらに、健康寿命の延伸を視野に入れ、地域住民への運動指導や健康教育といった予防医学的アプローチも、当センターの重要な取り組みのひとつです。
筑波大学は、長年にわたり我が国のスポーツ科学の先駆的研究を牽引してきた実績を有しています。医学医療系・体育系に加え、工学・情報・心理・教育といった多様な専門領域が有機的に連携し、国内外の大学、研究機関、スポーツ団体、企業との共同研究を通じて、「知の融合」を実現しています。SMITセンターもこうした筑波大学の強みを最大限に活かし、臨床・研究・教育の三位一体のアプローチによって、多角的な活動を展開しています。
また、東京2020オリンピック・パラリンピックをはじめとする国際大会における選手サポートや、国内のスポーツイベントに対する医科学的支援など、現場に根ざした実践的な活動にも積極的に取り組んでいます。これらの経験は、医療現場における迅速かつ的確な対応力の向上に寄与するとともに、次世代を担う若手専門職の育成にもつながっています。
さらに、スポーツ医学の成果をより広く社会に還元するため、行政、教育機関、地域住民との連携にも注力しています。学校教育現場における運動指導、障がいを持つ方への運動支援、高齢者の健康増進、企業との健康経営に関する取り組みなど、スポーツと医療の知見を社会実装へとつなげる活動を、今後も一層推進してまいります。
SMITセンターは「スポーツの力ですべての人に健康を」という理念のもと、誰もが安心して運動・スポーツに親しむことができる社会の実現を目指しています。引き続き、関係するすべての皆様と連携を深め、未来に向けた挑戦を続けてまいります。今後とも、温かいご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
筑波大学医学医療系 整形外科・スポーツ医学 鎌田浩史