決断の力が、未来の医療を創る
~特定行為が拓く、新しい看護のかたち~
看護師特定行為とは?
看護師特定行為とは、医師の包括的な指示(手順書)に基づいて、看護師が一定の医療行為を自らの判断で実施できる制度における「診療の補助行為」のことです。これは、医療現場での看護師の役割拡大を目的として、2015年(平成27年)に厚生労働省によって制度化されました。
団塊ジュニア世代(1971〜74年生まれ)が65歳以上となり、高齢者人口が最大化する一方で、現役世代が急減し、医療・介護における人材不足の問題も顕在化する2040年問題に向かい、看護師特定行為は日本の医療を守る戦略的な取り組みです。
看護師特定行為は、医療現場のニーズに応じて看護の役割を拡充し、より迅速かつ的確な質の高い医療の提供を可能とします。特定行為研修を修了した看護師は医師と看護師の協働をより強固にし、患者中心の医療を実現するキーパーソンとして、まさに“医療の即戦力”として期待されています。
筑波大学附属病院の研修はここがポイント!

共通科目の演習・実習は実践的な学習内容が豊富
予診法、身体診察法、臨地実習やエコー演習など、実際に体験して学べる機会が豊富にあり、特定看護師としての活動の基礎的なスキルアップを実現します。

区分科目演習では少人数できめ細やかな指導
シュミレーターを用いて、安全に手技の習得ができるように少人数で学内演習を行います。オープンラボ日を設定し受講生同士が主体的に学べる環境があります。

実績を積んだ指導医師が多数在籍
筑波大学附属病院は医育病院であり、経験豊富な指導医が看護師特定行為研修の演習、実習でわかりやすく適切な指導を行います。
特定行為に係る看護師を有する医療施設のメリット
- 250時間という共通科目の学習を通してより専門的で幅広い知識・技術を習得します。自施設に戻り看護の専門性を拡大し、チーム医療を推進することで自施設の医療の質向上に繋がります。
- 医行為の研修を通じ、医師の視点で医療現場を観ることができるようになり、医師とのコミュニケーションがよりスムーズになることで医療の質と安全性の向上に繋がります。
- 特定看護師が一部の医療行為を行うことで、患者中心の医療の深化と医療の持続可能性に繋がります。


挨拶

筑波大学附属病院 病院長
平松 祐司
筑波大学附属病院は、2015年10月の看護師特定行為研修制度の発足に伴い、その重要性をいち早く認識し本研修講座を開講しました。本院の多くの専門医師や看護師が協力して魅力あるカリキュラムを作成し、現在20区分の特定行為研修と6つの領域別パッケージを開設しています。院内はもとより、院外や県外からも広く受講生を迎え入れ、すでに多くの修了生がその成果を医療現場に還元しています。本研修を修了して看護師特定行為を実施することは、看護師の皆さんのスキルの高度化やキャリアアップにつながるばかりではなく、本年度から本格化する医師の働き方改革、ひいては病院全体のゆとりある働き方に大きく貢献するものです。特定行為研修修了者の活躍の場は今後ますます広がっていくでしょう。ひとりでも多くの看護師の方が本研修を終了し、スキルとキャリアに磨きをかけ、医療人としての人生をさらに輝かせてくださるよう祈っております。

筑波大学附属病院 副病院長
前野 哲博
最近、医療改革においてタスクシフティングという言葉がキーワードになっています。既存の枠組みにとらわれず、新たな職種間連携を生み出すことで、これからの日本の医療に必要な、患者さん・ご家族・医療従事者・行政すべてをまきこんだ真の「チーム医療」が実現するものと考えています。その意味において、地域やベッドサイドにおいて、今まで以上に看護師が主体となって医療行為を展開していくことを可能にする特定行為研修は、大きな意味を持つと考えています。
筑波大学附属病院では、茨城県で唯一の特定行為研修の指定研修機関として、今後の医療を支えていく看護師を養成する研修を行っています。働きながら高度な研修を受けることで、プラスアルファの確かな学びを実感していただけるカリキュラムですので、多くの方が、「教育の筑波」で専門的な知識や技術を習得し、医療の第一線で活躍していただくことを願っております。

筑波大学附属病院 副病院長/看護部長
篠崎 まゆみ
超高齢社会において医療の対象者は複雑な疾病構造を持つ人々へと変わり、医療ニーズの変化とともに医療提供体制の変換が求められております。このようななか、特定行為は新たな看護提供体制のひとつとして注目されています。看護師が医師の思考プロセスを理解することで、看護師・医師の両視点から患者さんへのアプローチを可能とし、看護師がタイムリーに特定行為を展開することで、患者さんの合併症予防や早期回復に貢献することができます。
筑波大学附属病院は本県最大の特定行為研修の指定機関として、多くの専門医師による充実したe-learningや直接演習指導、シミレーションラボでの演習など充実したカリキュラムを用意しています。また、専任の看護師を配置し相談等手厚く支援しております。
多くの看護師の皆さんが筑波大学の特定行為研修を受講することにより、新たなキャリアを獲得し、新しい医療提供体制の、そして、チーム医療のキーパーソンとして、看護の質向上と看護師の地位向上に貢献して頂ければと願っています。