当科の紹介

教授挨拶

2018年8月

 

写真筑波大学医学医療系臨床腫瘍学・筑波大学付属病院腫瘍内科のホームページへようこそおいで下さいました。当科は2015年4月に新設され、私が初代教授として就任いたしました。

 

がんは多くの日本人を悩ます病気で、2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなると言われています。従来、がんに対して各臓器別に外科手術を中心とした治療がされていましたが、現在では患者さんを特定の臓器に偏ることなく全身的に診ることができ、かつ薬物療法(化学療法=抗がん剤)に精通した医師(がん薬物療法専門医)が求められています(「腫瘍内科とは」参照)。当科は新設されたばかりですので歴史も実績もありませんが、今後は多様な問題を抱えたがん患者さんに主体的に対応していきたいと考えています。

 

多くの患者さんにがん薬物療法が必要となりますが、がん薬物療法専門医は日本ではまだまだ少ない状況です。当科が新設された当時、筑波大学付属病院にはがん薬物療法専門医は3人、茨城県全体でも6人しかおらず、現在でも十分な人数を確保できていません。従って、がん薬物療法専門医の養成が喫緊の課題となっています。そのため当科では、後期研修医向けの「臨床腫瘍コース」を開設しています。臨床腫瘍学は、悪性腫瘍の予防、診断、治療を体系的に研究し、診療に応用していく学問領域ですので、generalistとして頭のてっぺんから足の先まで臓器横断的に診る能力と、specialistとして薬物療法を中心に手術療法や放射線療法などをコーディネート出来る医師を育てることを目標としています。全国的な後期研修医制度の開始に合わせて、内科専門研修プログラムの一環として再スタートしますが、若い先生方のニーズに合わせて柔軟に対応していきたいと考えています。

 

当科では、入院病床を有しませんが、今まで臓器別各診療科からのコンサルテーションに対応しながら、固形がん患者さんを対象に診断と外来化学療法を主軸においた内科診療を行ってきました。各患者さんの背景も考えながら、最も適した治療法を提供していきます。

 

最近の話題として、がんゲノム医療があります。全ての遺伝子をまとめてゲノムと言いますが、がんはこのゲノムの変異が蓄積してがん細胞が無秩序に増殖し、他の組織や臓器に浸潤したり転移したりして発症します。そこで、最新の遺伝子解析装置である次世代シークエンサーを用いてがん細胞のゲノム変異を調べ、その結果に基づいて最も適していると考えられる治療を選択していくのが、がんゲノム医療です(「腫瘍内科とは」参照)。筑波大学付属病院は、北関東圏の中心的な施設としてがんゲノム医療に取り組むことが求められていますので、当科を中心に体制作りを急いでいます。

 

筑波大学腫瘍内科の活動にどうぞご期待ください。