当センターについて ABOUT US

茨城県⺠の
脳卒中や⼼臓病の
予防と重症化防⽌を
推進します

全国で、脳卒中と心臓病で年間31万人以上が亡くなっており、がんに次ぐ死亡原因2位となっています。このように多くの国民の生命や健康をおびやかし続けている状況を受け、2018年に「脳卒中・循環器病対策基本法(健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法)」が公布されました。(注1)

筑波大学附属病院 茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センターは、基本法に基づく施策のひとつとして、茨城県と連携し脳卒中・心臓病などの患者さんやご家族や各地の医療機関への情報提供・相談支援など包括的な支援を行うために2022年7月に設立されました。

この事業は、厚生労働省に採択を受けた全国12か所の病院で行われるモデル事業として2022年にスタートしたものです。当センターは茨城県との連携をとりつつ、様々な取り組みを継続し、茨城県ひいては我が国の循環器病対策の推進に貢献してまいります。

茨城県の現状:循環器疾患の死亡率が高く、医師が少ない

全国平均より高い
茨城県の
脳卒中・心臓病の死亡率

茨城県において脳卒中、心臓病が原因で亡くなる割合は、人口10万対比で全国でもワースト上位となる状態が続いています。また脳卒中と心臓病の診療に携わる専門医の数が少ないという特徴があります。そこで当センターでは、脳卒中や心臓病について包括的かつ専門的な情報発信を行ってまいります。専門でない医療スタッフが、患者さんの診療や普段の生活サポートにかかわる場合のために、初期対応や入院診療の向上などを目的とした研修動画を配信し、情報格差の縮小をはかってまいります。

一方で脳卒中・心臓病の発症には生活習慣が大きく関わっており、運動や適切な食事、禁煙、血圧や血糖管理によって予防することも可能です。 特に高血圧は重要な要因です。高血圧は食塩摂取量に大きく影響を受けます。塩分摂取量は、男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満が推奨されていますが、茨城県では男性11.2g(全国ワースト11位)、女性9.4g(同ワースト10位)です。 そのため高血圧対策を中心に、メタボリックシンドロームや糖尿病などの予防や改善の取り組みが重要です。減塩や栄養バランスのとれた食生活の推進、運動の習慣づけなど、茨城県民に対する普及啓発をさらに活発に行う必要があります。(注2)

注1:循環器病対策推進基本計画|厚生労働省、2020年
注2:茨城県循環器病対策推進計画|茨城県、2022年

茨城県民すべてが
必要な医療情報に
ワンストップで
アクセスできる窓口に

脳卒中や心臓病の患者さんやご家族が、療養やこれからの生活について感じる悩み、不安、疑問などはさまざまで、適切な情報にアクセスできる窓口が必要です。

当センターには、「脳卒中・心臓病相談窓口」を設置し、

  • 脳卒中や心臓病に関する一般的な情報提供
  • 医療連携
  • 外来を含むリハビリテーション
  • 心理サポート
  • 治療と仕事・就労・復職などとの両立支援
  • 治療と就学・復学などとの両立支援
  • 緩和ケア
  • 疾病情報の提供(予防・診断・治療などについて)
  • 医療・介護・障害福祉の連携に有用な社会システムの提供
  • 経済的問題(または不安)への支援
  • 障害者手帳認定の支援
  • 家族支援
  • 患者会・家族会との連携(ピアサポート)
  • 訪問診療・訪問看護または在宅療養

こうした、県民の皆様からのあらゆる相談にワンストップで応えます。

循環器病対策を効率的に普及促進するネットワークの中心窓口になります

茨城県全体の
脳卒中・心臓病の対策を

当センターは、茨城県民の皆様や県内各地の医師、医療スタッフに対しても幅広く総合的な支援を行います。

支援の内容には患者さんやご家族ならびに医療機関への予防・診断・治療の情報提供、啓発、地域医療連携の場の提供などが含まれます。地域の医療資源の情報集約によって、茨城県内全域の医療連携の促進と充実を図り、約290万人の茨城県民の健やかな暮らしをサポートするように努めてまいります。

茨城県と連携しながら
行う事業

  1. 循環器病患者・家族の相談支援窓口の設置
  2. 地域住民を対象とした循環器病について情報提供、普及啓発
  3. 地域の医療機関、かかりつけ医を対象とした研修会、勉強会等の開催
  4. 相談支援を効率的に行う、資材(パンフレットなど)の開発・提供

当センターが行う
具体的な取り組み

  1. 脳卒中・心臓病の患者さん、ご家族の相談支援窓口の設置(リハビリテーションも含めた医療・介護・福祉・就労・障害の相談)
  2. 循環器病の発症につながる高血圧・糖尿病・腎臓病・生活習慣病等の予防啓発活動ならびに診断治療に関する情報提供
  3. 療養上の意思決定や問題解決、アドバンス・ケア・プランニングなどに関する情報提供
  4. 急性期から回復期および維持期(生活期)まで一貫性を持ったリハビリテーションに関する情報の提供
  5. 循環器病に関する超高齢社会の対応と地域包括ケアシステムとの協働を推進
  6. 循環器病に関する疾患・治療・リハビリテーション・介護・心理サポート・就労支援、身体障害者・福祉サービスなどに関する適切な情報提供
  7. 脳卒中・心臓病の患者さん、ご家族の苦痛やその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題への適切な緩和ケアの提供、特に重症な患者さんに対し療養と緩和に関する情報提供および支援
  8. 治療早期からの社会復帰を目指した治療計画、介護・福祉制度の利用と、ピアサポート・患者会等の紹介と連携の支援
  9. 就労を視野に入れた、急性期から維持期まで一貫した医療の連携支援と、個々の患者さんの状態に応じた就労評価の推進
  10. 医療機関と事業者の連携を支える両立支援コーディネーターを活用した、 就労支援・両立支援
  11. 小児期・若年期から成人期までの一貫した循環器病の診療支援と情報提供
  12. 先天性もしくは小児期発症の脳卒中、心臓病その他の循環器病を持つ患者家族に対し、専門的な立場からの医療・福祉の情報提供

ご挨拶

県民の脳卒中や心臓病への理解を深め、
健康増進に寄与する

2022年7月、筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センターが設立されました。

当センターは茨城県と連携を取りながら、脳卒中や心臓病などの患者さんやご家族の皆様のために、医療情報提供・医療相談をはじめとする包括的な支援体制を構築することを目的としています。

茨城県は、脳血管疾患や急性心筋梗塞の死亡率が男女ともに全国でワースト10に入っており、県をあげての改善への取り組みが求められています。

当センターでは、具体的な改善への取り組みとして

  • 県内の病院や診療所に対し研修会や勉強会を通じて、情報提供を図る
  • 急性期から回復期・遠隔期へとスムーズに移行できるよう、入退院支援の体制構築を図る
  • 患者さんやご家族が対面、電話やWebを通じて気軽に相談できるシステムを整える
  • 生活習慣の改善や再発予防につながる適切な情報を発信する

などを行います。

脳と心臓の疾患は、いずれも生命にかかわるものですが、生活習慣の見直しや早期の適切な疾病対策により、予防や重症化の回避を望めます。また発症したとしても、適切なリハビリによって回復を図り、再発を防止することで社会復帰や自宅での生活を目指すことも可能です。

当センターは、これまでに筑波大学附属病院ハートチームと脳卒中チームが培った医療技術、知見やノウハウを活かしつつ、県内全域に手厚い医療支援のネットワークを広げ、県民の脳卒中や心臓病への理解を深め、健康増進に寄与する所存です。

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センター
センター部長 平松 祐司

筑波大学 筑波大学附属病院
〒305-8576
茨城県つくば市天久保2丁目1番地1
Tel. 029-853-3900(代表)