【出展報告】BIO International Convention 2026
― サンディエゴで考えた、大学の研究を社会につなげるために大切なこと ―
2026年6月22日から25日まで、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された「BIO International Convention 2026」に参加しました。BIO International Conventionは、製薬・バイオテクノロジー企業、CRO/CDMO、スタートアップ、投資家、大学・研究機関、国・地域など、世界中のライフサイエンス関係者が集まる最大規模の国際ビジネスイベントです。
筑波大学からは、プロジェクトマネージャー、ビジネスコーディネーター等、計6名が参加しました。会場にはNINE JPブース内に筑波大学のブースを出展し、研究シーズの紹介や企業・VCとの個別面談、国内外の関係者とのネットワーキングを行いました。NINE JPブースには京都大学をはじめ多くの大学やAMEDも出展していました。
会期中には、BIO Partneringによる個別面談をはじめ、ブースでの交流や関連イベントなどを通じて、企業、VC、大学・研究機関等と計75件の意見交換を行いました。
筑波大学のブースでは、大型モニターを使って、22課題の研究成果や技術を紹介しました。すべての支援課題を一律に紹介するのではなく、研究開発の段階や技術の特徴などを踏まえ、今回のBIO Internationalで海外企業やVCに紹介することが適している課題を選定しました。
会場には1661もの企業や大学、支援機関が出展していました。その中で筑波大学のモニターに映した研究内容を見て足を止めてくださった方には、その場で研究シーズをご紹介し、相手の関心領域についてもお話を伺いました。事前に専用システムを用いて設定するBIO Partneringの面談とは異なり、ブースでの会話は偶然の出会いから始まります。話をしてみると、相手の関心により合う別の研究シーズをご紹介できることもありました。また、22課題をまとめて紹介することで、個々の技術だけでなく、T-CReDOで支援している研究の幅広さを知っていただく機会にもなりました。


BIO International Conventionの大きな特徴の一つが、参加者同士が1対1で面談できる「BIO Partnering」です。今回、3名のプロジェクトマネージャーと1名のビジネスコーディネーターを中心に、製薬・バイオテクノロジー企業、CDMO、VCなどとの個別面談を行いました。
面談では、それぞれの研究課題について技術の特徴や研究開発の進捗を紹介し、相手の関心領域との適合性や、今後さらに検討を進める可能性について意見を交わしました。すぐに具体的な連携に進むケースばかりではありませんが、今回の面談をきっかけに、ライセンス導入協議の申し入れにつながった例もありました。
また、具体的な連携に至らない場合でも、実際に企業やVCと話すことで、現在の研究段階に対する評価や、相手が関心を持つポイント、今後検討を続けるために必要となる条件などを把握することができます。研究開発の比較的早い段階にある課題についても、海外企業やVCからの反応を確認することで、今後の研究開発や事業化の方向性を考えるための材料を得ることができました。
今回BIO Internationalで紹介した課題の中には、AMEDの海外商談会支援を活用したものもありました。支援を通じて設定された現地での面談から、CDMOとの秘密保持契約下での協議など、その後の具体的な検討につながったケースもありました。海外企業との接点を広げ、次のステップへ進む機会として、AMEDの支援も有意義なものとなりました。
BIO Internationalには、製薬企業だけでなく、VC、アクセラレーター、支援機関など、研究成果を社会実装へつなぐさまざまなプレイヤーが集まっています。個々の研究課題について企業やVCとの接点をつくるだけではなく、大学として中長期的な海外ネットワークを築いていくこと、その両方を進められることも、BIO Internationalに参加する意義の一つです。
今回のBIO Internationalでは、各研究課題に関する面談に加え、VCや大学・研究機関、アクセラレーター、支援機関などと会場内外で意見交換を積極的に行いました。大学発研究の事業化やスタートアップの支援について、各プレイヤーと連携のアイデア、枠組みについて意見交換を行い、関係構築を行いました。一部のパートナー候補とは、具体的な取り組みについて更に協議を進めています。
BIO Internationalの期間中には、個別面談やブースでの活動に加え、サンディエゴと日本のライフサイエンス関係者をつなぐイベントにも参加しました。
6月25日には、LINK-JとUC San DiegoのInstitute for the Global Entrepreneur(IGE)による「San Diego–Japan Innovators’ Dialogue」に参加しました。サンディエゴと日本のスタートアップ、大学、支援機関などが交流し、今後の連携について意見を交わす場となっていました。
また、「LINK-J Japan Night」にも参加し、BIO Internationalに集まった国内外のライフサイエンス関係者との交流を深めました。
こうした場で直接顔を合わせて話すことが、その後の相談や新たな連携のきっかけになることもあります。個別面談とはまた違った形で、ネットワークを広げる機会となりました。

今回のBIO Internationalで改めて感じたのは、研究成果を海外の企業やVCに紹介する際には、技術の新規性や研究としての面白さを説明するだけでは、その価値が十分に伝わらないことがあるという点です。
同じ研究内容でも、「どのような医療上の課題を解決しようとしているのか」「既存の治療法や技術と何が異なるのか」「将来どのような製品やサービスとして届けることを想定しているのか」まで整理して説明することで、相手との議論がより具体的になります。これは、研究の価値をビジネスの言葉に置き換えるというよりも、研究成果が将来どのように医療現場や患者さんのためになるのかを、相手と共有できる形にすることだと感じました。また、企業とVCでは関心を持つポイントも必ずしも同じではありません。相手が何を目的としているのかを理解しながら研究課題を紹介することも、海外での対話を有意義なものにするうえで重要だと感じました。
今回の4日間では、BIO Partnering、ブースでの交流、ネットワーキングイベント、VCや海外アカデミアとの対話などを通じて、計75件の意見交換を行いました。ただ、BIO Internationalへの参加は、面談件数を増やすこと自体を目的とするのではなく、各研究課題について何を確認し、どの様な成果につなげたいかを事前に明確にし、その目的にあった企業・機関を選定してアプローチすることが基本です。
さらに、面談後には、企業やVCからどのような評価を受けたのか、どのような点に関心を持ってもらえたのか、今後どのような条件が整えばさらに話を進められるのか、面談で得られた情報を持ち帰り、研究者と共有して次の研究開発につなげていくことが重要です。今回得られたフィードバックについても、今後の研究計画や企業・VCへの再アプローチのタイミングを検討するために活用していきます。また、今回築いたVCや大学・研究機関、支援機関などとのネットワークについても、今後の海外展開や国際連携につなげていきたいと考えています。
T-CReDOでは今後も、それぞれの研究課題の段階や特徴に応じて適切な機会を選びながら、国内外の企業、VC、研究機関などとの対話を通じ、研究成果の実用化を支援していきます。