がんゲノム医療について
筑波大学附属病院では,患者さんのがんに関する遺伝子を1回の検査で網羅的に解析し,抗がん剤の選択に役立てるがん遺伝子パネル検査をする『がんゲノム外来』を開設しています。
がんゲノム外来では,網羅的がん遺伝子解析(がん遺伝子パネル検査)により,がん細胞に特異的な遺伝子の異常を見つけ,患者さんに最も適した治療薬の情報を提供します。(検査結果によっては,提供できない場合があります)
- がんに罹患しているかどうかを調べる(スクリーニング,検診)ために,がん遺伝子パネル検査を受けることはできません。
- 医療保険制度上の費用負担の関係で,当院または他院に入院中の患者さんは,がん遺伝子パネル検査を受けることはできません。
がん遺伝子パネル検査の保険適用について
がん遺伝子パネル検査は以下の1~3の条件をすべて満たす場合,保険が適用されます。
- 全身状態が良好である。<パフォーマンスステータス(PS)0~1※1>
- 病理学的診断によって悪性固形腫瘍(固形がん※2と診断されている)
- 原則として3年以内に手術または針生検で採取された病理組織検体が必要です。
- FoundationOne®LiquidCDxの場合は、病理検体は不要です。
- 治癒切除不能または再発の病変を有する(1)または(2)の腫瘍。
- 標準治療がない,標準治療が終了している,もしくは終了が見込まれる固形がん
- 原発不明がん(※3)
- パフォーマンスステータス(PS)について
パフォーマンスステータスとは,ECOG(米国の腫瘍学の団体)が決めた全身状態の指標であり,病気による局所症状で活動性が制限されている場合には,臨床的に判断することになっています。
- まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
- 肉体的に激しい活動は制限されるが,歩行可能で軽作業や座っての作業を行うことができる。 例:軽い家事,事務作業
- 歩行可能で,自分の身のまわりのことはすべて可能だが,作業はできない。
日中の50%以上はベッド外で過ごす。 - 限られた自分の身のまわりのことしかできない。
日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。 - まったく動けない。自分の身の回りのことはまったくできない。
完全にベッドか椅子で過ごす。
- 固形がん
がんのうち血液を作る臓器である骨髄やリンパ節から発生する白血病やリンパ節をのぞいた,かたまりを作って増殖するタイプのがん(例:胃がん,肺がん,乳がん等)のことです。
- 原発不明がん
がんが発生した臓器(原発部位)から離れた部位で進展したがん(転移巣)が先にみつかり,原発部位がわからないがんのことです。全固形がんの3%から5%を占めます。
上記条件を満たさずにがん遺伝子パネル検査を希望する場合や,単に検査の事を詳しく聞きたい場合などは自由診療となります。