胸の痛み、動悸、呼吸困難、失神などの症状や原因不明のショックといった場合の診断あるいはその経過観察のために行う検査です。また、術前検査の一つとして手術を予定されている患者さんの心臓に問題がないか確認するためにも行います。
【検査方法】
手首、足首、上半身を脱いでベッドに仰向けに寝ます。技師が手首、足首、及び胸部に電極をつけます。
心臓由来の症状、例えば動悸、脈の乱れ、胸の痛みなどがある場合には、心電図検査が行われます。しかし、通常病院で行われる安静時心電図は、1分以内と短時間のため、症状の原因となる心電図変化を捉えるとは限りません。
また、心臓を養う冠状動脈の流れが悪くなって起こる狭心症発作は、日中活動時に起こりやすくいつ何時起こるかわかりません。
そこで、日中活動中や夜間睡眠中も含めて1日中常に心電図が記録できるホルター心電図は有用です。
【検査方法】
この検査は坂道を登る・急ぎ足で歩くといった日常生活の中で現れる胸痛・動悸・息切れなどの症状を再現し、その時の心電図変化と血圧の変化をみて、運動中の心臓の状態を調べる検査です。
心臓を養う冠状動脈が動脈硬化などで狭窄してくると安静時は症状がなくても、運動して心臓に負担がかかると不整脈や心筋に血液が十分に行かない状態(虚血といいます)が起こり、心電図に変化がでます。
【検査方法】
実際には、心電図と血圧を測定しながらベルトコンベアーの上を歩きます。
ベルトは3分毎に速度と傾斜が増していきますので、その速度に合わせてはじめはゆっくりと、段階が進むにつれて早歩き、かけ足の速さへと進んでいき、年齢に応じた予測心拍数に達すると運動量十分とみなし終了します。
症状の出現や血圧、心電図に変化がみられると予測心拍数に達する前に終了することもあります。
運動不足、肥満、ストレス、喫煙等の生活習慣や、高血圧、高脂血症、糖尿病、などの基礎疾患は、動脈硬化の危険因子となります。
動脈硬化は症状が現れにくく、放っておくと狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などに発展する可能性があるため、早期発見が大切です。
1)脈波伝達速度(PWV)は、動脈硬化(硬さ)を脈拍動の伝わる速さで評価する検査法です。動脈の壁が硬くなると動脈壁の弾性度が低下し、拍動(脈波)の伝わる速度が速くなります。
2)足関節上腕血圧比(ABI)は、足首と上腕の血圧の比です。寝た状態で両腕、両足首の血圧を同時に測ると、健常人では足首の方がやや高くなります。ところが、動脈に狭窄や閉塞があると血圧は低下します。このような狭窄や閉塞は下肢の動脈で発生しやすいので、足首と上腕の血圧の比をとれば動脈の狭窄や閉塞の評価ができます。
上腕と足首が出るようにしてベッドに仰向けになり、血圧計のカフ、両手首に心電計の電極、胸に心音マイクを装着します。
身体の力を抜いて静かに動かないでください。両腕と両足首の血圧・脈波を計測します。5分くらいで終了します。
筋内電位の伝わり方の遅い微小電位(遅延電位LP)の存在により、不整脈の頻拍発作が起こりやすいとされています。
通常の心電図では記録できない微小電位を重ねて加算し大きく記録することで、頻拍性不整脈の素地を精査することができます。
電極は前面、両側面、背面に装着します。
通常の心電図と同様に身体の力を抜いて安静状態で記録します。
検査時間は、心拍数や不整脈の有無、体動等の記録条件にもよりますが、心室性のQRS波加算が約10~15分、心房性のP波加算が15~20分程です。
心臓超音波検査(心エコー)とは、人の耳には聞こえないほどの高周波数の超音波を心臓に発信して、返ってくるエコー(反射波)を受診し、心臓の様子を画像に映し出して診断する検査です。
超音波は、X線撮影やRI検査のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦や乳幼児でも安心して受けることができます。
心エコー検査を行なう目的は心臓の形の異常を発見する形態的診断、もう一つは心臓の働きを見る機能的診断です。
特に、心臓は常に拍動していますが、その動いている状態をそのまま観察できる、とても有用な検査です。
心室や心房の大きさや壁の厚さ、壁の動き、弁の形態や動きなどがわかります。
カラードップラー法を行なうと、心臓の中の血液の流れを映し出すことができ、弁の異常や壁に穴があいているかどうかなどの異常を発見できます。
またPW法、CW法などの特殊な方法によって心臓の圧を推定することもできます。
【正常例】
図 :
心臓には電流(活動電位)が流れていますが、同時に磁場を発生しています。
心磁図は、心臓の各部位から自然に発生する微弱な磁場を64チャンネルの超伝導磁気センサーを用いて1/1000~1/2000秒の高速で測定します。
心臓から得られた磁気の変化は心臓の異常な電気活動をよく反映しているものと考えられており、心臓の病気を正確に診断できるのではないかと期待されています。
これらの心磁場分布を解析し、心臓のどこに障害があるのか、どこが伝導遅延しているのか、どこから不整脈が発生しているのかなどさまざまな情報から各種分析法を用いて評価しています。
心電図と心磁図の違いは、電気(電場)と磁気(磁場)の違いです。
心臓から発生する電気(1次電流)は身体を伝わる間に骨や筋肉、脂肪、体液の電気抵抗のため、体表面まで到達する間に波形の形を変え心筋表面の1/100程度にまで弱まった2次電流(帰還電流)へ変化して歪み易い欠点があります。胎児心電図も胎脂に覆われ表面からの測定は困難で多くの情報が失われています。
一方、磁場は、骨や筋肉、脂肪、体液などで乱れることがないため、1次電流の情報を高い精度で着衣のまま(非接触)測定可能です。
検査は磁気シールドルームと呼ばれる遮蔽した部屋の中で行われます。金属類や磁性体、携帯電話などの電子機器は身体からはずしていただきます。
検査衣に着替えていただきますが、着衣のまま検査を行います。
べッドに5~10分程度、横になっていただくだけで記録は終了です。
検査は3方向(正面、左側面、背面)で記録いたします。不整脈がある場合は記録時間が長くなりますが、着替えから全ての検査終了まで20分程です。
検査装置
心磁図記録