メッセージ MESSAGE

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等
総合支援センター 元センター副部長
筑波大学 医学医療系 循環器内科 客員教授
臨床と研究の双方を
大切にしてきた
心臓を専門に診る循環器内科は、患者さんの命に直結する診療科です。大変な思いをすることもたくさんある分、やりがいもあります。心筋梗塞や不整脈など救急外来で亡くなる方がいる一方で、治療によって劇的に回復される方もいらっしゃいます。投薬やカテーテル治療を通じてよくなれば、心から喜んでいただける点が私たちの喜びでもあります。
一般的な医師のキャリアは、臨床医と研究者に大別されます。直接、患者さんと接して診断や治療を行う臨床医のほうが一般の方にはなじみが深いと思いますが、病気の原因を調べたり、新たな治療法を開発するなどを目的に、研究室・実験室をフィールドにする医師もいます。
私は臨床と研究の双方で貢献したくて今まで“二刀流”を続けてきました。どちらかに重点を置く医師が多い中で、異色の存在かもしれません。臨床には、患者さんを治すやりがいがある一方で、これだけ医療が進歩しても治せない病気、わからないことがまだまだたくさんあるので、そこに挑みたいのです。臨床の努力と現状を知っているからこそ、医療につながる大切な研究ができるはずだと信じています。

心臓病の治療を
再生医療で劇的に変えたい
私はアメリカ留学中に再生医療とめぐり会ったことが、研究者としての大きな転機になりました。心臓の治療を劇的に改善できる可能性を再生医療に感じたためです。
心臓の筋肉の細胞は、心筋梗塞や心筋炎などの病気によって一部が死んでしまうと、その後再生はできません。 心臓の筋肉が減ると、ポンプとして血液を送る機能が弱くなってしまいます。
心臓を移植できれば治る患者さんは大勢いますが、臓器提供が不足しているために亡くなられる方も非常に多いのです。こうした切実な医療のニーズに応えるため、私は心筋細胞の再生を研究してきました。動物実験では成果が証明されており、安全性を慎重に確認したうえで近い将来は人間の身体にも応用できるようにしたいと思っています。
地域の病院との連携を
深める役割を担う
筑波大学附属病院では、国内でもトップレベルの心臓病治療の実績があり、重症の心不全や不整脈患者さんを県内外から受け入れて治療してきました。循環器内科には、心臓のプロフェッショナルが多くいます。こうして「筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センター」が設立され、当院の知見を活かし幅広く県民の皆様に正しい情報を届けることは、私たちの責務だと思います。
センターができる以前から、私たちは筑波大学の関連病院向けの勉強会や公開市民講座を開くなど医療レベルの向上や予防啓発に力を入れてきました。茨城県で暮らす300万人近くの皆様の健康を守るには、こうした活動が不可欠だと考えていたからです。
広い茨城県をひとつにまとめるのは簡単ではありませんが、医療機関同士の連携の輪を広げて、盤石な医療体制を構築するために尽力したいと思っています。
筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センター 元センター副部長
筑波大学 医学医療系 循環器内科 客員教授
出身
慶應義塾大学医学部卒業
経歴
臨床研修指導医
日本医師会認定産業医
日本循環器学会専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
専門分野
循環器疾患全般、心不全、心筋症、ファブリー病、アミロイドーシス、再生医学
