メッセージ    MESSAGE

人として、看護師として、
患者さんとご家族に寄り添う
木村 育代

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等
総合支援センター 委員
筑波大学附属病院 看護部 看護師
心不全療養指導士

峰 志匡

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等
総合支援センター 委員
筑波大学附属病院 看護部 看護師
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

気持ちと生活の両面から
患者さんとご家族を支える

--峰さんが看護師を志望した、きっかけを教えていただけますか。


学生の頃、同居していた祖父が脳疾患を患ったことが、私が看護師を志した原点です。幸い一命は取り留めましたが、記憶障害や集中力の低下などさまざまな影響が及ぶ高次脳機能障害に悩まされる祖父の様子を見て、看護師を志しました。

そもそも脳卒中という病気は、突然襲ってくるので、多くの患者さんやそのご家族が「なぜこんなことになったのか…」と、現実を受け入れられないものです。そうした方たちに寄り添い、支える仕事をしたいと思ったのが、きっかけです。

--木村さんは心不全療養指導士として患者さんを看る病棟を担当されていますね。

木村
私は整形外科や救急診療科を経て、EICU(救急集中治療室)に6年ほど勤務していました。
救急車で搬送されてくる重症な患者さんを直接受け入れる、緊急度の高い病棟です。

その後、危険な状態から回復した方のサポートや、重症化する前の生活習慣の改善にかかわりたいと思うようになり、現在は循環器内科と心臓血管外科の一般病棟で勤務しています。

専門の看護師だからこそ
できるサポートがある

--それぞれ専門資格を取得されました。どのようなものか教えてください。

木村
2021年に心不全療養指導士の資格を取得しました。心不全の患者さんの増加を受けて、日本循環器学会が作った新しい資格です。患者さんに対し、再入院や悪化の予防、生活の質(QOL)を改善するように提案することがミッションです。

たとえば「運動が重要だと分かってはいるが、習慣化できない方に向けて、このようなアプローチを行う」など、患者さんの関心や状況にあわせた対応方法を体系立てて学べたので、自信を持って患者さんとコミュニケーションできるようになりました。


心臓病の患者さんのケアにあたることは大きな責任をともないます。不整脈の患者さんが、もし心臓の血管を詰まらせたら心筋梗塞となり、亡くなる可能性も高いわけです。
そのため看護師による24時間体制での心電図モニターを通した生命兆候の観察は欠かせません。さらに診療や生活の補助に加えて、療養の指導まで行うのは、長年習練を積んだ看護師だからこそできることだと思います。

--峰さんも、厳しい実習を経て、認定看護師になられましたね。


6年前に、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師になりました。患者さんの重篤化を防ぐためのモニタリングとケアを行い、会話や食事をはじめ日常生活を取り戻せるようにリハビリテーション看護を行います。

ときには回復が見込めないと言われていた患者さんがまばたきをした、目を開けられるようになったといった小さな変化が見て取れると、看護師として関わってよかったと心から思えます。患者さんのご家族は、身内だけで悩むことも少なくないので、「ご本人はこのような変化がありました」と、一言添えるだけでも希望が持てることがあるんです。

木村
峰さんが取得された認定看護師は、実務経験に加えて専門の教育機関に半年間通わなければならないため、さらに狭き門です。
SCU(脳卒中集中治療室)で働く看護師は多数いますが、当院全体でも脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の資格を持っているのは峰さんだけです。

峰さんの専門知識が必要になった際には、他の診療科の看護師にもレクチャーを依頼されるなど、いざというときに頼りにされている存在だと思います。

“予備軍” にも
予防への意識を行き届かせたい

--高齢化にともない県民の皆さんへの予防の啓発が重要になりますね。


脳卒中や心臓病の発症を予防できる可能性が高まるのは間違いありません。これまでも市民公開講座などを通じて、脳卒中の再発予防を呼びかける活動などを行ってきました。

啓発活動には普段の病院での仕事とは異なる責任を感じますが、患者さんが住み慣れた地域でその人らしく生活できることにつながると信じて続けていきたいと思います。

木村
心臓病や脳卒中のリスクが比較的高い「予備軍」と呼ばれる方たちへのアプローチは、特に難しいと感じます。一般的な循環器クリニックでも、いらっしゃる患者さんに血圧測定や降圧薬を服用する重要性を看護師がお伝えしているとお聞きします。しかし、「症状がないから大丈夫」と自己判断でやめてしまう方もいて、防げたはずの脳や心臓の疾患が発症してしまうのはとても残念なことです。

茨城県内の皆様が長く住み慣れた地域で、元気に暮らしていただきたい。そのために、予防や啓発活動を行っていくことも、私たち看護師のミッションです。

木村 育代

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等
総合支援センター 委員
筑波大学附属病院 看護部 看護師
心不全療養指導士

峰 志匡

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等
総合支援センター 委員
筑波大学附属病院 看護部 看護師
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

筑波大学 筑波大学附属病院
〒305-8576
茨城県つくば市天久保2丁目1番地1
Tel. 029-853-3900(代表)