指導体制の充実
充実した臨床研修を受けるためには、研修制度や病院のシステムなどのハード面の充実に加え、研修医を指導する指導医の指導技能の向上やサポート体制など、ソフト面での充実が不可欠です。
筑波大学附属病院では、以下のような制度を導入し、指導体制の充実を図っています。
指導スタッフの充実
本院では、以下のような指導スタッフの充実を図っています
- 専攻医(シニア・チーフレジデント)の院内定数の増員(現在約200人)
- 後期研修修了後に大学病院で診療および研修指導に従事するクリニカルフェロー制度
- 病院助教、病院講師の新設
このような方策を通して、よりいっそうの診療体制の充実と研修指導の向上を図っています。
レジデント担任制度
目的
スーパーローテーション研修は、数多くの幅広い症例を経験できるというメリットの半面で、短い期間で次々と環境が変わることから、研修医は常に不慣れな環境で研修することになり、指導する側もレジデントの個性に合わせたきめ細かなケアを提供することは難しいのが現状です。
そこで、研修医が医師としてのキャリアを形成していく過程を2年間を通してサポートするmentorとしての役割を充実させることを目的として、レジデント担任制度を導入しました。
担当者
レジデント担当教員(16名)が担当します。一人の教員あたり4~5人程度の研修医を担当します。なお、ローテーションが変わっても2年間を通して同じ教員が担当します。
内容
オリエンテーションの時研修医ごとに担任教員を決めます。研修医は、研修に関して何か不安や相談があれば遠慮なく連絡をとってよいし、同僚の研修医で困っている人がいたら担任教員に連絡をとってかまいません。
担任教員は日頃から担当している研修医のコンディションに気を配り、特に研修医からの申し出がなくても、少なくとも半年に1度は直接会って研修の実情を聞きます。この制度が円滑に実施できるよう、総合臨床教育センターでは担任教員との食事会の開催や定期的なメール配信などの支援を行います。また、研修医がもし休養やペースダウンなどの具体的な対策が必要になった場合は、総合臨床教育センター全体でバックアップを取る体制が確立しています。
指導医養成講習会の実施
これは、茨城県における研修病院が質の高い研修を提供し、もって茨城県の地域医療の発展につなげることを目的として、厚生労働省のガイドラインに準拠したプログラムで開催されるものです。毎年県内で100名から150名が受講しており、これまで1500名程度の指導医が研修を受けています。筑波大学内の指導医講習会受講者数は全国国立大学病院トップです。
レジデントレクチャー
臨床研修の到達目標達成のためには、定められたスーパーローテーションでは期間が短い上にローテーションする診療科も限られているために、場合によっては経験症例が不十分であったり、内容に偏りが生じたりする可能性があることから、将来の専門分野に関わらず、臨床医として修得しておくべき臨床技能についてレクチャーを実施します。
対象はすべてのレジデントで、研修医は出席を取り、一定の単位取得が研修修了の条件となっています。具体的な以下のテーマは以下の通りですが、レジデント研修委員会で承認されたものについては、院外で実施される講演会・研修会やACLSプロバイダーコースなどもレジデントレクチャーの単位として認定しています。
平成30年度 レジデントレクチャー テーマ
CPCレポートの書き方 | 睡眠時無呼吸症候群 |
しびれについて | 救急外来における泌尿器科疾患 |
深部静脈血栓・肺塞栓 | 腹部CTの適応と読影の基本 |
経腸栄養 | 血糖のコントロールについて |
関節痛の診断および治療 | 脳卒中のプライマリーケア(意識障害、麻痺をどうみるか) |
耳鼻科領域の救急疾患(鼻出血・異物) | |
症状への対応-1頭痛 | 昇圧薬・降圧薬の使い方 |
胸部X線写真の撮り方と見方 | 頚部、乳腺、腋禍の触診 |
抗菌剤の使い方 | 喘息のみかた |
救急外来でよくみる精神症状とその対応 | 妊娠と薬剤・X線検査 |
腎障害時の薬物使用法と薬剤性腎障害 | CPCレポートの書き方 |
癌性疼痛のコントロール | 整形外科領域の外傷患者への対処法 |
症状への対応-2胸痛 | 尿路性器感染症の診断と治療 |
急性腹症としての婦人科疾患 | せん妄に気付く/不眠症のタイプと治療 |
急性冠症候群 | 腎機能、尿検査異常と診断、治療 |
めまいへの対応 | 高カロリー輸液 |
薬疹の見方 | 肝機能検査の読み方/ウイルス肝炎マーカーの判定の仕方 |
咳 「頑固な咳へのへの対応」 | 眼科救急疾患 |
当直医が見逃してはならないこどもの病気 | 筋電図からわかること |
神経学的所見のミニマムエッセンシャル | 外来当直で遭遇する小児外科疾患 |
腹痛の鑑別診断 | 急性腹症の外科治療 |
症状への対応-3意識障害 | 創傷治癒・消毒 |
放射線治療の動向 | 不整脈ABC(抗不整脈薬の使い方) |