メッセージ    MESSAGE

国内トップレベルの
脳心センターを茨城に作る
平松 祐司

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等
総合支援センター センター部長
筑波大学附属病院 副病院長
筑波大学 医学医療系 心臓血管外科学 教授

世界の頂点を見て
意識が変わった

2001年、私は小児心臓外科医としての見識を深めるため、当時全米トップの小児病院と評されていたフィラデルフィア小児病院にいました。まだ日本の小児心臓手術の成績が欧米に劣っていた頃で、その要因を見出して筑波大学に持ち帰るつもりでした。しかしそこで見たのは、一切の無駄な手技やシステムを排した“究極のシンプルな手術室”でした。

一流のアスリートや料理人なども段取りや所作に無駄がありません。患者さんの命を預かる手術室では、安全に配慮するあまり余計な手順やシステムが加わりがちで、それがかえって手術の効率を損なっていたと気づきました。なすべきことは足し算ではなく、引き算でした。

帰国後ただちに心臓血管外科システムの抜本的な見直しを行い、不要と思えるものはすべて削ぎ落としました。すると手術時間は半減し、手術の質と安全性は目に見えて向上しました。手術チームスタッフのモチベーションも高まりました。以後、徐々に茨城県内はもとより近県からの紹介は増え、近年では小児、成人あわせて年間300件あまりの開心術が当院で行われています。

執刀する外科医には高度なトレーニングを受けた優秀な人材を集める一方、県内をはじめとする全国の主要な心臓血管外科移設や、他の国立大学などにもスタッフを派遣しています。心臓血管外科と循環器内科がハートチームを構築して国内有数の心臓病センターへと発展を遂げ、これが今回の「筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センター」設立の基盤となっています。

患者第一主義だから
理想的な医療が提供できる

心臓病や脳卒中においては、命にかかわる病気ゆえに発症後は速やかで適切な治療が必要です。再発や悪化を防ぐための包括的なケアや患者さん自身の生活習慣の改善、さらにはそれを見守るシステムも欠かせません。急性期から回復期、遠隔期にいたるまで、一貫した治療体系の中でこれらの医療やケアが展開されることが理想です。

病態によっては様々な要因が複雑に絡むので「外科だけ」「内科だけ」で診ることには限界が生じてきます。しかし病院に限らず、大きな組織ほど内部の意志疎通や情報の共有が難しくなります。

筑波大学附属病院が最も大切にしていることは「患者第一主義」とそのための「組織横断的協調」です。異なる専門分野のスタッフがワンチームを形成し、柔軟に連携してひとりの患者さん、個々の病態に対峙します。この「筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センター」もまた、多職種のプロフェッショナルによって構成される、患者第一主義の組織横断的センターです。

県内全域を
高い医療レベルで包み込む

本センターは県民にハイレベルの医療を提供する脳卒中・心臓病センターであるとともに、患者さんやご家族、医師、医療スタッフや医療機関を対象として広く「総合支援」を行います。

支援には医療はもとより、リハビリ、予防、情報提供、啓発、地域連携、教育や人材育成などが含まれ、これらの活動を通して茨城県全体の脳卒中や心臓病に対する医療システムの高いレベルでの標準化を図り、ひいては脳卒中と心臓病の罹患率や死亡率の低下に導きたいと考えます。

「総合支援」を通じて、地域間の医療格差を着実に埋めながら、県内全域を高い医療レベルと支援のネットワークで包み込み、県民のより健やかな暮らしに貢献したいと思います。

平松 祐司

筑波大学附属病院茨城県脳卒中・心臓病等総合支援センター センター部長
筑波大学附属病院 副病院長
筑波大学 医学医療系 心臓血管外科学 教授

出身
筑波大学医学専門学群卒業

経歴
日本外科学会代議員
日本胸部外科学会評議員
日本心臓血管外科学会評議員・国際会員・理事
日本小児循環器学会評議員
日本血管外科学会評議員
Society of Thoracic Surgeons 国際会員

専門分野
心臓血管外科、小児心臓外科、人工心臓

筑波大学 筑波大学附属病院
〒305-8576
茨城県つくば市天久保2丁目1番地1
Tel. 029-853-3900(代表)