変化に富み、複雑化した現代社会において、より良い医療を提供するには、臨床技能のみでなく、コーチングやマネジメント能力を駆使し、地域医療の現場でリーダーシップを発揮する能力が養われることが必要である。特に看護においては、ケア(Care)とキュア(Cure)を融合させながら、医療機関、外来・クリニック、在宅をつなげる調整能力や、疾病の予防および治療・療養過程の全般を把握しながら医療を提供するための包括的実践力が求められる。
本コースは、専門看護師(Certified Nursing Specialist)の技能を身に着けた高度な実践能力を持つ看護師に、地域基盤型の看護実践に焦点を当てた博士課程教育を提供するものである。高度な看護実践能力を強化するために、学習科目は、本学の学際的分野の教育組織と密接に連携した組み立てとなっている。これにより、多角的に物事を検証・研究・応用する能力と、高度な判断力をもって様々な事象を結び付けケアをデザインしプログラミングする能力を養う。
本コースでは、サブスペシャリティとして以下の一つ:① 緩和ケア、②リハビリテーション、③地域精神医療(高齢者・認知症関連等)、④家族・在宅ケアにおける、高い看護の専門性と教育能力、リーダーシップ能力を持つ高度実践看護師の養成を目指す。
【Goal(s)】
【Objectives】
本コースは、主に①レクチャー等による理論的な学習と②受講者自らがそれを臨床や指導の現場で実践する演習によって構成されている。各自のレディネスに応じて、③経験を確実に定着させる振り返りの学習を希望する場合は、本コース以外の看護科学専攻科目(専門看護師養成科目)と組み合わせて学習することになる。その場合の履修方法については、担当指導教員のコンサルテーションを受けること。
参考文献として下記の教科書を提示する。それ以外の資料や参考文献については、適宜配布する。
修了条件
・ 3年以上在学し、授業科目について所定の単位を修得し、博士論文の審査及び最終試験に合格することとする。
・ 各科目の評価については、科目のシラバスを参照のこと。
科目名 | 時間数 | 内容 | |
---|---|---|---|
応用看護科学論 |
時間:45時間
講演会:4月~6月 火曜日5~7時間目 |
目的 | 看護科学の専門性を学際的に探究し、看護技術の開発及び看護理論の構築、教育、研究方法の構築をめざし、科学的、学術的に探求できる |
内容 | 看護の基礎となる理論の構築、がん看護領域における中範囲理論の構築、精神看護領域における理論の構築、看護の基礎技術の開発、疾患を持つ人の保健行動を高める技術の開発、障害のある人の保健行動を高める技術の開発、技術教育における教授法の開発、臨床倫理の教育・教授法の開発、精神看護学における教育・教授法の開発、まとめ(看護理論) (技術開発) (教育・教授法) | ||
進め方 | 講義とディスカッション、プレゼンテーション | ||
応用統計学 |
時間:45時間
講演会:4月~7月 火曜日2~4時間目 |
目的 | 看護科学研究、特に量的研究を行うための医療系統計学の基礎の理解を深めるとともに、多変量解析の方法論を理解し、看護分野の主として研究への応用を目指す。 |
内容 | 医学医療系統計学の基礎、量的研究の進め方、多変量解析(重回帰分析)、多変量解析(主成分分析と因子分析)、多変量解析(判別分析とクラスター分析)、結果の解釈、研究計画の立案と検討 | ||
進め方 | 講義とディスカッション、プレゼンテーション | ||
研究倫理 |
時間:45時間
講演会:5月~6月 不定期集中 |
目的 | 研究活動に従事する上で踏まえるべき研究倫理の基礎を学ぶ。 |
内容 | イントロダクション・概要、研究不正とは、研究ノート(ラボノート)とその要点、研究倫理の一般的課題(研究不正、責任ある研究、道徳的想像力)、研究倫理に関する実践的課題、研究のプロセスと倫理的課題、・グループ演習(ミニ・ワークショップ)、先端研究と研究倫理 | ||
進め方 | 講義とディスカッション、プレゼンテーション | ||
チーム医療実践論 |
時間:指導医養成講習会 2日間
時期: 講習会:7月、1月 |
目的 | 多職種医療チームのあり方、および円滑なチーム運営のために看護師が担うべき役割について学び、多職種と良好な信頼関係を構築し、リーダーシップを発揮して、チーム一体となって問題解決に当たる能力を習得する。 |
内容 | 多職種連携の基礎、組織論の基礎と医療現場への応用、チームビルディングの理論、医療現場でのチームビルディングの実際、医療チーム内での看護のリーダーシップ、円滑なチーム運営のために看護師が担うべき役割 | ||
進め方 | 茨城県指導医養成講習会に受講者として参加し、講習会参加後、講義ならびにグループでディスカッションを交えながら学ぶ。 | ||
臨床教育技法 指導演習 |
時間:指導医養成講習会 2日間
時期: 講習会:9月、10月 |
目的 | コーチング、メンタリングそれぞれの理論と技術を活用して、地域包括ケアを実践する人材育成力を高める能力を、討議、演習、事例検討を通して養う |
内容 | コーチングの構造とコーチングの4つのスキルについて、メンタリングの基本理念とメンタリングの機能、コーチングと従来型マネジメント、改革型リーダーシップとの違い、フィードバックとは、フィードバック技法、忙しい臨床現場でのフィードバック技法、やる気と可能性を引き出すスキル | ||
進め方 | 茨城県指導医養成講習会に受講者として参加し、講習会参加後、講義ならびにグループでディスカッションを交えながら学ぶ。 | ||
高度実践看護学特論 |
時間:指導医養成講習会 2日間
時期: 講習会:1月 講義:5月30日 9月28日 他4時間×3回 |
目的 | 地域包括ケアにおけるリーダーシップやマネジメントのあり方、およびリーダーシップ能力を発揮するために必要な高度な知識、技術を学び、看護師として担うべき疾病の予防および治療・療養過程の全般を管理・実践できる能力を養うための基礎的な知識を習得する。 |
内容 | Saint Anthony College of Nursing Gordana Dermody による「クリニカルナースリーダーの役割とその成果」特別講義参加イリノイ大学シカゴ校看護学部 准教授 Holli A. DeVon先生による「米国における看護実践博士(DNP)課程授業:研究成果の実践への応用」特別講義参加Clinical Nurse Leaderの実際とそのあり方、 Clinical Nurse Leaderにおけるリーダ-シップのあり方、研究成果の実践への応用、地域包括ケアにおける問題解決能力 | ||
進め方 | Saint Anthony College of Nursingとイリノイ大学シカゴ校看護学部からの招聘教員による特別講義への参加。茨城県指導医養成講習会に受講者として参加し、講習会参加後、講義ならびにグループでディスカッションを交えながら学ぶ。 | ||
高度実践看護学演習 |
時間:指導医養成講習会 2日間
時期: 講習会:1月 講義:応談 |
目的 | 地域における包括的・継続ケアの実践において、疾病予防から療養過程全般におよぶ的確な臨床判断と医療管理、治療的な看護介入が行える知識・技術を習得する。 |
内容 | Clinical Assessment、Clinical Management (診断と治療計画の理解、基礎的な治療・処置、疾病予防と健康増進に向けた看護介入、継続ケア、患者・家族への教育・指導)、チームアプローチによる多職種連携、多職種連携カンファレンス | ||
進め方 | 事例を活用した講義とティスカッション、実技演習への参加。茨城県指導医養成講習会に受講者として参加し、講習会参加後、講義ならびにグループでディスカッションを交えながら学ぶ。 | ||
看護科学研究 | 在籍全期間 | 目的 | 看護科学に関する特定の研究課題について、看護の視点から自立した研究活動を行い、科学的根拠に基づいた創造性・独創性の高い論文を作成できる。 |
内容 | 看護科学に関する特定の研究課題を見出す、自立した研究活動を行う、創造性・独創性の高い看護科学論文を作成する | ||
進め方 | 研究計画を作成し発表会を行う。研究論文については、予備審査、ならびに本審査を受ける。 |