筑波大学附属病院
筑波大学附属病院 総合臨床教育センター

法医学コース:メッセージ

コース長 本田 克也

法医学という学問は、人間にとって避け得ない、そして医師として直面しなければならない、人間の死に真正面に対峙し、死亡の原因追求や、個人の識別を科学的に実施し、さらには犯罪捜査に貢献しうる、社会性の高い医学的分野です。業務としては変死体の検死や解剖、病理組織や血液の検査、DNA検査、薬毒物の分析機器による検査等、高度な検査機器を使用して高精度の鑑定を行っています。また、病理解剖が疾患の診断を厳密に行うのに対して、法医解剖では、外因死と内因死の鑑別を基本にしながら、死因の判断技術を習得できます。また疾患のない外因死や、疾患とは診断し得ない内因死など、健康体や疾患初期像の解剖など、病理解剖では経験できないご遺体の解剖を行うことができます。このような研修は臨床医としての幅を広げるためにも、また臨床医としての実力をも備えた、法医学の専門医になるための研修としても、意義あることと思います。専門研究としてもDNA鑑定学や法中毒学、あるいは法医病理学など、未開拓の領域がたくさん残されております。このコースを通して、諸君の中から、今なお専門医が不足している法医学者を志向する医師が一人でも生まれることを期待しています。