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医療保健福祉分野の専門職が獲得すべき連携能力とは?

2012年度から多職種連携コンピテンシーの開発に関わってきたJAIPE のIPE 推進委員会と2014 年度から三重大学が文部科学省より委託された「成長分野における中核的人材養成の戦略的推進事業」(以下、文科省委託 事業)は協働して「多職種連携コンピテンシーの開発」を行うことを合意し、複数領域の学会・職能団体の協力を得ながら、議論を進めてまいりました。

本プロジェクトは「文部科学省 成長分野などにおける中核的専門人材養成の戦略的推進事業 医療・保健・福祉の現場を支える『多職種連携力』を持つ人材育成プログラム開発事業」(主幹:三重大学)の 助成を受けて2015 年3月まで実施され、第0版として成果がまとめられましたもので、さらにその成果を発展させる形で、2015年9月から2016 年3月まで「文部科学省未来医療研究人材養 成拠点形成事業『リサーチマインドを持った総合診療医の養成』選定事業 筑波大学『次世代の地域医療を担うリーダーの養成』」の助成を受けて作成されています。

本事業では、吉本先生、春田先生が多職種連携コンピテンシーの開発チームの責任者として関わっております。 以下、多職種連携コンピテンシー開発チームを代表して、春田先生・吉本先生からの「多職種連携コンピテンシー」に関する提示です。



日本の医療保健福祉分野の卒前教育は伝統的に相互に独立して行われ、学生は他の職種を十分理解しないまま卒業し、卒業後も忙しい臨床現場の中では自分の職種の役割をこなすだけで精一杯で、互いの職種を理解する機会もなく毎日がすぎ、中堅・管理職となっているのが現状ではないだろうか?

本来であれば卒前~生涯教育において、連携協働の価値観を学べるような一貫した多職種連携教育が必要であるが、これまでは準備状態が整っていなかった。そこで、本邦でも多職種連携教育・実践を促進するべく卒前~生涯教育にかけて応用できる、多職種連携を実践するために必要な能力(コンピテンシー)を学会・職能団体を巻き込んで開発した。コンピテンシーに関しては「多くの団体が協力してコンピテンシーを作り上げ、賛同した団体・個人が自由に利用できるという形が望ましい」という考えから、ホームページ等に継続してアップし、どなたでも使えるようにしていきたい。

我々総合診療領域の医師のみならず、医療保健福祉分野に関わる専門職の方々の教育・臨床に、今回開発した多職種連携コンピテンシーが役に立つことを願っています。

医療保健福祉分野の多職種連携コンピテンシー PDF