乳癌は成人女性の癌の中で最も多いものです。2004年度の統計では生涯で実に16人に1人の女性が乳癌に罹患するとされております。手術成績の向上により、乳癌の術後成績・生命予後は大きな改善をみております。しかし、乳癌切除後の乳房欠損・変形、術後のリンパ浮腫は患者QOL(Quality of Life)において依然大きな問題です。縮小・温存手術が普及してきたとは言え、術後変形から欠損までさまざまな変形を気にされる患者さんは数多くいらっしゃいます。
私達は乳癌術後の患者さんを主な対象として術後のQOLの向上を図るため、2010年3月より茨城県では初めての“乳房再建・リンパ浮腫外来”を開設し、本院乳腺外科と協力して乳癌切除後の即時再建や乳癌術後の乳房欠損・変形などに対して乳房再建の治療を行ってきました。乳房再建数は徐々に増加し一次(即時)、二次再建を含め年間40-50件ほどとなっております。
再建の方法は患者さんの切除の術式、腫瘍の悪性度(ステージなど)、放射線治療などの状況によって異なります。
乳房を再建する方法は自家組織(広背筋皮弁、遊離腹部穿通枝皮弁、腹部腹直筋皮弁、脂肪移植など)、エキスパンダー(組織拡張器)や人工乳房(乳房インプラント)を用いた方法などを行っております。
この中で人工乳房(インプラント)に関しては現在まで自費で行わざるを得ない状況でした。
このたび新聞などの報道にもありましたように2013.7より人工乳房(インプラント)、乳房専用組織拡張器(エキスパンダー)が保険収載となり、現在まで保険適応ではなかった人工乳房(インプラント)が本院でも保険治療として可能になりました。また2014.1より人工乳房(インプラント)の”しずく型”も保険可能になりました。
保険治療で人工乳房、エキスパンダーが使用可能な条件として
- Stage II以下(大きさが2-5cmまで)
- 皮膚浸潤、筋肉への浸潤や高度のリンパ節転移を認めない
- 筋肉(大胸筋)が温存可能
- 皮膚欠損が少ない
- 放射線治療により皮膚の血流や弾力性が損傷されていない、などがあります。
すべての条件を満たす方が対象となり、これらの条件を満たさない場合には、自家組織による再建など別の方法を検討いたします。
乳房再建外来は形成外科が行い、毎週水曜午前中の予約制となります。適応・手術方法などは診察してご相談いたします。保険上、適応上で手術方法を選択させていただきますことをご了承ください。また紹介状が無くても診察は可能ですが、手術の方法を検討するに当たり、予定される乳癌治療の情報やこれまでに行った治療の詳細な情報は重要ですので、できるだけご用意いただけますようお願いいたします。紹介状が無い場合には治療された施設にお尋ねさせていただく場合があります。
本学では1974年に添田周吾教授が診療を開始し、以後中山凱夫教授(1993-2007)、関堂充教授(2008.7-)と地域への診療に貢献し、患者中心の医療を心がけて参りました。日本の形成外科診療におきまして歴史ある施設のひとつです。乳癌診療あるいは術後で悩まれている患者さんのQOL向上のためにお役に立てることが私どもの大きな役割のひとつと考えております。
悩まれている患者さんの受診をお待ちしております。
| 診療科 | 形成外科 |
|---|---|
| 診療曜日 | 水曜 午前中 |
| 担当医 | 教授 関堂 充 |
| 診療予約 | 筑波大学附属病院 予約センター 電話 029-853-3570(8:30~17:00) |
| 地域医療連携 医療機関専用 電話 029-853-3727 | |
| お問い合わせ | 電話 029-853-3933、3934 (形成外科外来 午前中のみ) |