附属病院において質の高い医療の提供と合理的な病院運営を行うには、正確で迅速な情報伝達とその共有化の促進が必要不可欠です。これに対応するため、本院では開院時より全国の国立大学附属病院に先駆けて病院情報システムの導入と業務のシステム化を図るとともに、各種診療資料の中央一括管理を行ってきました。
近年、情報システムの発達のおかげで、病院における多様で複雑な業務をコンピュータを活用した効率的なシステムにすることが可能となったことから、病院情報システムの規模とそのサポートする範囲は拡大し続けています。また、従来は紙やレントゲンフイルム等の媒体に記憶されていた各種の診療情報の多くが既に電子化され、電子化された診療情報の管理・伝達・蓄積について新たな対応が求められるようになっています。さらに、学内・外の情報ネットワーク・システムが整備され、従来は病院外部と遮断された環境で構築されてきた病院情報システムが、病院外部の情報ネットワーク・システムとの間で,安全でかつ安定したやりとりを実現することが必要になりました。外部ネットワークの知的な資源を安全かつ容易に利用したり、他の医療機関との間で診療上の必要な情報交換が行えるようになってきたわけです。
このような状況に対応するためには、技術進歩の度合いを見計らいながら、院内における業務のシステム化に関する多様な要望をまとめ、病院外部の情報ネットワーク・システムとの協調性を保ちながら、一つの統合された情報システムを整備することが重要であり、そのための業務と、病院職員に対する教育・研究の支援を行うことが医療情報部の役割です。筑波大学では医療の安全、質の向上、教育性を兼ね備えた理想的な電子化統合診療システムを目指しています。
一方、患者さんの個人情報でもある診療資料を安全に管理し、しかるべきルールに則って教育・研究にも活用して医学・医療の進歩に役立てる基盤を作ることも重要な役割の一つです。